消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
写真は本文とは連動しない挿絵です。
皇居の堀の対岸は高層ビルで埋め尽くされた。
(タイトル)
消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
(本文)
大都会ではビルが増殖して集積度を増す。札幌も仙台も東京も名古屋も大阪も福岡もそうだ。県庁所在地にも同じ現象が出現する。東京会館などがある皇居の堀の対岸は高層ビルで埋め尽くされた。霞が関ビルはどこにあるか知る者はいない。都心のビル建築現場に向かう周辺の建築・土木関係車両で都市高速道路は混雑する。
東京では都心から60㎞も離れると街の活気は薄れる。70㎞、80㎞と遠隔地に行くにしたがってその度合いは強くなる。100㎞まで離れると農村地帯だ。平成30年度の農林水産長の資料は日本の農業就業人口175.3万人、うち65歳以上120.0万人、平均年齢66.7歳(平成29年度)となっている。平成12年度(2000年)の農業就業人口389.1万人であった。減少率がここからわかり、先行きも予想される。
日本の農業の生産出荷額の推移はどうか。農林水産省の統計資料は、平成27年(2015年)年の農業総産出額は、前年に比べ4千億円増の8兆8千億円、生産農業所得は対前年5千億円増の3兆3千億円としている。農業総産出額は、生産・価格両面の要因により、昭和59年(1984年)の11兆7千億円をピークに、平成20年(2008年)には8兆5千億円に減少。その後は下げ止まっていて大体は8兆規模で推移している。
農業全体の生産額減少要因は、価格要因と生産要因が半々。品目別にみると価格要因が70%を占める米の減少額が全体の3分の1になる。何のことはない米の価格を抑えたことによって日本の農業総産出額が減少したのだ。これは人工要因である。米の生産額を野菜の生産額が上回るようになった。畜産は野菜よりも生産額がずっと多い。果実は0.7から1兆円で下位に属するが安定している。
農業の生産はあまり減っていない。農業就業人口は大きく減っていてしかも高齢化している。生産一定、就業人口大幅減少の穴を埋めているのは農業の機械化である。
都会のビル林立をみてある有名建築家は出来の悪い知の工場と述べた。一次、二次、三次と分けられる産業にあって、三次産業が6割になろうとしている。サービス業などに含まれる産業に属する企業が都心をビルで埋め尽くす。ビル群は日本の繁栄を映しているようだがはたしてどうだろう。
経済は人の暮らしである。人とは食べ、住み、衣を纏(まと)うものである。国内総生産(GDP)の6割を消費が占める。日本の経済にとって輸出は大事であるが、日本経済は輸出依存型から国内消費型に姿を変えている。工業生産も農業生産もサービス産業も日本に住む人口1.268億 (2017年)人によって消費される。
平成24(2012)年1月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」は、今後、長期の人口減少過程に入り、平成38年(2026年)に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、60年(2048年)には1億人を割って9,913万人となり、72年(2060年)には8,674万人になると推計している。50年後には第二次世界大戦が終了したころの人口、昭和20年(1945年)の72,147万人ほどになるのではないか。
日本の国内総生産(GDP)の6割を消費が占める状態は変わらないだろうから、人口の減少分がおよそGDPの減少の度合いとなる。
都心部でもシャッター商店街は普通であり、地方の町々でも同じだ。野菜、精肉、米、衣類、雑貨などの商店に代わってコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ホームセンターがそれを売るようになった。薬も同じであり、街の食堂はレストランチェーンにとってかわられている。消費は一定のところに便利なチェーンが広がったのである。
2019-01-01-consumption-decreases-with-the-degree-of-population-decline-and-gdp-also-changes-in the-same-way-
(不適切な表現などについてはご容赦ください)
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